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植毛コラム

第10回コラム植毛の説明にはウソがいっぱい

FUTのウソ

以前毛髪治療のシンポジウムのおりに某演者が自分の植毛イコールFUTという趣旨で話をすすめていたので私は『あなたの言うFUTの定義はいったい何ですか?』とたずねてみたことがありました。
『フォリキュラーユニット(FU)ごとの株分けを行なう植毛術です。』という答えでしたが、知識不足のためではなくおそらく意識的にそう発言しているのだと感じました。
FUTとは何か?についてここでその定義の再確認をしたいと思います。

従来の株の分類
従来のサイズ分類

植毛の歴史をひもとくと、

  • 1959年にOrentreich(以下敬称を略します)がパンチ式植毛術を発表し以後30年間この方法が標準術式として続きました。
    パンチグラフトは3~4㎜径の大きさの株で1株に10本以上の移植毛が含まれています。
    これを使って3~4回施術をくり返して薄毛の範囲をカバーしたわけですが、どうしても田植え状態の不自然さがありました。
  • これを克服する意味でパンチグラフトを小さくし(たとえば半分にするとハーフグラフト、4分の1にするとクォーターグラフト)、移植毛が3~6本含まれる2、3㎜径の株はミニグラフト、1~2本のものはマイクログラフトと呼ばれました。
  • マイクロやミニグラフトは始めはパンチグラフトの不自然さをカムフラージュする存在でしたが1990年代初めにブラジルのUebelがそれらだけで植毛を行なうマイクロ・ミニ植毛法を発表し、以後爆発的に普及していきました。
  • 1990年中頃にフォリキュラーユニット(FU)ごとの株分けがテキサスのLimmerによって提唱されFUTは植毛術の主流におどり出て現在に至ったわけです。さらに2002年にはFUEも発表されています。

パンチ式植毛法、マイクロ・ミニ植毛法では帯状のドナーの頭皮を細かく面に分割するのに対してFUTやFUEの株つまりFU株はその1コ1コが頭皮に存在する点ととらえられます。その点ごとに株分けするわけです。そこが従来の方法と大きく違う概念です。
現在は株の分類も従来のサイズ分類ではなくFUを基本にされるようになりましたし、当然のことながらすべての医師はFUという単位を意識して株分けしているわけです 。

新しい株の分類(2004. W.Unger博士による)
●マイクロ株
2本毛のFUを2つの1本毛にするなど1コ以下のFUが含まれるもの
●FU株
1コのFUが含まれる株
●フォリキュラーファミリー株
2つのFUが0.2㎜以下の距離でくっついてあたかも1つのFUにみえる株(実際にはMFU株ですがこれは例外的にFUTに入れても良いとされています)
●マルチフォリキュラー株(MFU株)
2つ以上のFUが含まれる株で従来のミニグラフトと同じもの

FUTの定義

  • ・ドナーを採取するときにマルチブレードナイフを使用しない
  • ・すべての株分けを顕微鏡下で行う
  • ・すべての株は原則として1つのFUを含む
  • ・FUの間の皮膚( hairless skin )は取り除く
  • ・株を植え込む際にスリットを用い、パンチは用いない

FUごとの株分けであってもMFU株を用いた場合にはFUTとは呼べないというのが大多数の植毛医のコンセンサスです。
『1つのフォリキュラーユニット(FU)ごとの株分けを行う』の1つは絶対にはずせない要点です。
『インターネット上ではミニグラフトというのは評判が悪いのでMFU株という隠れ蓑をつけているだけではないか、こんなまぎらわしい呼び方はやめよう。』という意見が出てきています。

それに対してMFU株をつかう医師は『顕微鏡をつかっての株分けだから昔のミニグラフトとは違う。』と主張していますが、『それなら“顕微鏡で株分けをしたミニグラフト”と呼べば良い。』とまた反論されています。医師は患者に正直であるべきです。

メガセッションのウソ

現在のところメガセッションとは一度の手術で2500株以上を植えつけることであり、複数回の手術の合計の株数についてではありません。
欧米では一度に多くの株数を競うのがトレンドになっており最近はギガセッション(一度に5000株以上)も登場して、2度のメガセッションと1度のギガセッションどちらが良いのか?という討論さえ行なわれています。
私達日本人は白人と比べドナーの密度が低いので1度に3500株以上とるのは至難の業でうらやましい限りの討論ですが、薄毛の程度によっては多くの株が必要なケースは多いと思います。
一度に2500株以上はおろか2000株以下の植えつけしか行なえないにもかかわらずメガセッションをPRするのはこっけいな話です。

高密度植毛のウソ

高密度植毛 or デンスパッキングは現在のところ35株/㎠以上の植えつけと定義されています。それより低い密度しか植えられないにもかかわらず高密度植毛やデンスパッキングとPRするクリニックがあります。厚顔無恥と言わざるをえません。

達成密度のトリック

達成密度とは日本人の場合、後頭部のドナー部の平均値80FU/㎠を分母として、実際に植えつけた株数がX株/㎠だとするとX÷80×100(%)で計算されます。(白人は100FU/㎠)
一方、達成密度を採取したドナーの面積によって説明するクリニックもあります。
その場合採取したドナー頭皮の面積をA㎠?、植えつけた薄毛の面積をB㎠だったとすると達成密度はA÷B×100(%)で説明されるようです。
これを実際の達成密度を比較してみましょう。
たとえばAが20㎠でBが60㎠の場合某クリニックでは達成密度は以下のケース1~3の方々で33%と説明されます。
仮に毛根切断による移植毛の喪失が5%だったとすると、

〈ケース1〉
ドナーの密度が平均の80FU or 160本/㎠の方の場合、達成密度が33%と説明されても実際には80×0.95÷3=25% になります。
〈ケース2〉
ドナーの密度がケース1より1割低い72FU or 144本/㎠の方の場合、達成密度が33%と説明されても実際には72×0.95÷3=23% になります。
〈ケース3〉
反対にドナーの密度がケース1より1割高い88FU or 176本/㎠の方の場合、達成密度が33%と説明されても実際には88×0.95÷3=28% になります。

このようにドナーの面積対うえつけ部の面積で説明される達成密度の数字は相対的なものであり、いつでも実際の達成密度よりも過大な数字になります。33%を2回行なって理屈でいえば植毛のゴールをはるかに上まわったはずなのに、実際にはとても薄くみえるのはこのためです。
このトリック気付かれましたか?

 

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