個性といってもいいのですが、ときどき生まれつきとても額が広いとか、
生え際がM字型の
〝ソリコミ〟の入った状態になっていて、
低く丸みのあるヘアラインを希望して受診されることがあります。
また、ニューハーフの方が女性らしいヘアラインを希望して植毛術を受けることもめずらしくありません。
そのような場合には植毛が唯一の解決策になりますし、とても満足してもらえます。
ここではそれを、薄毛に対する植毛と区別する意味で「美容的植毛」という言い方をさせてもらいます。
女性はコメカミから丸いカーブのヘアラインが一般的ですが、男性はヘアラインとコメカミのラインの
交差する角度は90度かそれより小さい、つまり少しソリがある方が多数派です。
去年、ナスバウム博士は「女性の自然な生え際のパターンについて」という論文を発表しています。
生え際のデザインは男性の植毛ではよく議論されますが、
それまで女性の生え際について言及したものは
ほとんどありませんでした。
しかし女性の植毛のニーズが高まるにつれ、生え際のデザインについても
関心が高まってきたわけです。
ナスバウム博士によれば、米国人女性の場合、生え際の高さは真ん中で眉間から
だいたい5・5㎝程度で
富士額の人が約80%だったそうです。
また生え際の形でいうと、三角状にそりが入っているパターンが61%、
楕円形にくぼんでいるパターンが26%、でっぱりになっているパターンが9%、
ストレートが3%ということです。
女性のヘアラインは、うぶ毛から太いヘアに移行していくので、
これを植毛でまねるにはかなりデリケートな
作業になります。
具体的には、たとえば2本毛をわざと1本ずつに株分けして、
発毛するヘアのうぶ毛化を図るといった手法をとったり、脱毛に必要なパワーより
低いエネルギーのレーザーを照射してうぶ毛化を図るなどの工夫が必要かと思います。
生まれつき眉毛が薄かったり、外傷、手術やレーザー治療で眉毛の欠損が起きたり、
円形脱毛で抜けて長い間生えてこないという状態とか、長年毛抜きなどで抜き続けた結果
生えてこなくなってしまった、などの再建修復の目的と、それほど薄くもないがもっと
濃くしたいという
2つの目的で植毛が行われます。
眉毛には目を保護する働きや、額から流れる汗を止める役目もあるといわれていますが、
感情表現の
ポイントとして大変重要なパーツで、
植毛で自前の眉を取り戻すことで顔の印象は大きく変わります。
私たち日本人では眉毛のほうが頭髪と比べてやや細いことが多いのですが、
白人は逆に眉毛のほうが頭髪より太いようで、赤毛、ブロンド、褐色の順で太いとされています。
頭髪は3~7年のサイクルで伸び続けますが、眉毛は1~2カ月で生え替わるので「短毛」といわれます。
植毛の場合、本来ドナーは同じ性質のヘアの部位から採るといいのですが、
眉毛に似たものというと鼻毛、
まつ毛ということになってしまい、
これらから多くのドナーを採るのは事実上不可能です。
したがって、
ドナーは通常頭髪を使います。
その場合、採取する部位は側頭部の耳の後ろか後頭部です。
眉毛は1本毛で生えているので、
やはり1本毛に株分けして植えつけたほうが自然です。
通常、片方で100~300本ほど植えつけます。
植えつけの方向や角度にも気を配ります。
眉毛というのは内側は上に向いて生えていて、やや細いのですが、
中ほどからは眉尻に向かって、ほとんど平行に伸びています。
また、
眉毛はほとんど皮膚と平行に伸びているので、
なるべく寝かせて植えるように工夫しなければなりません。
術後に注意していただきたいのは、生えたヘアは頭髪と同じ性質を持っており、
毛周期が長いため、
伸び続けるということです。
したがって、ときどきカットする必要があります。
まつ毛は霊長類特有のもので、両まぶたに毛があるのはヒトと同型類猿人だけだと、
18世紀のフランスの
ビュフォンは述べています。
元来、風やほこりから目を守るために存在すると考えられますが、
古代エジプト時代から美容的にもとても大切なチャームポイントとして、
アイシャドーでそこを強調するなどが
行われていました。
まつ毛も眉毛と同じ短毛で、すべて1本毛で構成され、上まつ毛が100本、下まつ毛が60本、
全部で
約300本で、2~3列で生えているとされ、女性のほうが本数も多く、長いようです。
毛周期や成長速度は眉毛とまったく同じです。
頭髪の毛周期は6~8年で、その10%程度が休止期に
入っているとされ、
まつ毛の毛周期は1~2ヶ月で、その半数が休止期だとされています。
植毛を希望される方の目的は眉毛と同じで、生まれつき少ないか、
あったものがなんらかの理由で
脱毛してしまった再建と、
それほど薄くないがもっと濃くしたいという2つの目的があります。
再建では美容目的のレーザーのアクシデントで脱毛してしまったなど、
医療的な原因によるものが結構多いのが
特徴です。
近年まつ毛への関心が非常に高くなっていることもあり、
美容の目的の植毛を希望する女性は増えてきています。
まつ毛が長いと目が大きく見える効果があり、つけまつ毛などを毎日行う女性も多いようですが、
植毛は一度行えば半永久的に生え続けます。
まつ毛の美容植毛もドナーは眉毛と同様、後頭部や耳の上から採ります。
眉毛をドナー
として使うという論文もありますが、
その場合は眉に傷ができてしまうという問題もあります。
眉毛同様、毛の生え方、流れを意識して植え付けますが、まつ毛への植毛というのは、
技術的にも非常に
デリケートで難しく、慎重に行う必要があります。
眉毛へもそうですが、まつ毛への植毛は局所麻酔で
行いますが、
1週間程度は目のまわりの腫れが気になるかもしれません。
そのため手術を受けるのなら、その術後1週間程度は大切な用事がないときのほうがいいでしょう。
最近の話題として、アメリカ製の「ラティス」というまつ毛の育毛剤があります。
プロスタグランジンの作用で、まつ毛の育毛効果のある薬です。
植毛を考える前に、これを試してみるのもひとつの方法です。
ただ、周りの皮膚にシミができたりなどの
副作用もあり、またほかの育毛薬と同様、
ずっと使い続けないといけません。
また怪我などの外傷によってなくなったまつ毛には効果はありません。