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> 治療の流れ



植毛は奥田庄二医師が1939年パンチグラフトの概念を確立しアメリカの皮膚科医Dr.Orentreichが1959年に薄毛に応用し爆発的に普及しました。1980年後半からパンチグラフトの不自然さを改善する意味でミニグラフト・マイクログラフトと株が小さくなっていった流れがあります。それとは別に笹川・田村・藤田教授によってはじめから小さな株を植え込む試みがなされましたが、残念ながらこれは普及せず1992年からChoi式の植毛針を使う方法が日本・韓国などで行なわれ現在に至っております。


パンチ式植毛が1990年初頭までの植毛の標準的術式でしたが、生え際の不自然さを改善する目的でNordstromやMarrittらがマイクログラフトを補助的に用いる試みを行いました。1991年にUebelはミニ・マイクロ植毛のみの症例を報告しこの術式は急速に普及しました。
さらに1990年代後半より、Limmer,Bernstein,Rassmanらがfollicular unit transplantation(以下FUTと略します)を提唱し、現在欧米の標準的術式になっています。マイクログラフト(1~2本)、ミニグラフト(3~6本)は株のサイズ分類ですが、FUTの場合1984年Headingtonによって定義されたFollicular Unit(1~4本の硬毛、1~2本の軟毛、皮脂腺、起立筋、そしてそれらを囲むコラーゲン線維の帯という一式を含む解剖学的単位:以下FUと略します)を株の単位にしています。
つまり
1. ドナーを採取する時にマルチブレードナイフを使用しない。
2. すべての株分けを顕微鏡下で行なう。
3. 全ての株は原則として1つのフォリキュラーユニットを含む。したがって1株のサイズは平均2本前後となる。
4. 各々のフォリキュラーユニットの間の皮膚(haieless skin)は取り除く
5. 株を植え込み際にスリットを用いパンチを用いない。
という条件をクリアしたものと定義されています。ちなみにわが国で広く行なわれている単一植毛術は顕微鏡を株分けに使用しないため欧米ではミニ・マイクロ植毛の一種と分類されています。FUTは他の植毛法と比較して
・自然さという点では理想的。
・小さな株にできるため高密度な植付けがより容易。
などの長所がありますが、
・株分けの時間がよりかかり、またスタッフの熟練もより必要。
などの欠点もあります。採毛部の頭髪が細い症例では、FUだけでは密度がとれにくいことがありますが、当院ではその場合2個のFUを一株にしたFollicular pairing graft(以下FPGと略す)を用いる事で対処しています。
現在欧米では約半数のクリニックがFUTを行なっているといわれております。また従来のマイクロ・ミニ植毛を行なっているクリニックでもヘアラインなどの自然さが特に必要な場所にはFU株を部分的に使っています。
当院でも5年前からいち早くFUTを導入し現在のところ日本で唯一のFUTを行なっているクリニックです。

まず右の写真が、頭の拡大写真です。よく見ると、同じ所から2本~3本出ていることが分かると思います。すべての髪が1本で生えている訳ではありません。ひとつの場所から、2本出ている毛を2本毛と呼び3本出ている毛を3本毛と呼びます。右の表は私が発表した後頭部のドナーの場所の日本人の平均値です。1本毛が約30%、2本毛が54%、3本毛が15%、そして4本毛が0~1%となっています。またドナーの密度は後頭部では80FU/cm²つまり160本/cm²、側頭部ではそれよりはるかに密度が小さく120本/cm²程度です。ちなみに白人の場合Limmerは227本/cm²と報告しているように日本人よりはるかに密度が高くなっています。大体日本人の密度は白人の70%程度とされています。



まずは、写真1が平均的な髪の毛の生え方です。1平方センチメートルあたり(写真は5mm²の視野)160本の毛が生えています。1本毛、2本毛、3本毛と平均的に生えています。

写真1 1cm²あたり160本
そして写真2が、1平方センチメートルあたり(写真は5mm²の視野)200本の毛が生えています。ほとんどが2本毛、3本毛が多く生えています。

写真2 1cm²あたり200本
そして写真3が1平方センチメートル(写真は5mm²の視野)あたり100本の髪の毛の様子です。またこの方はヘア自体も細く、これくらいになると、髪の毛が薄く感じます。

写真3 1cm²あたり100本

一般所見と局所所見をチェックします。一般所見では年齢(薄くなり始めてからの期間など)、健康状態、受診動機、期待度(手術の結果についてよく理解できるか、あるいは過大な期待を抱いていないかなど)、心理的・情緒的要素、遺伝的背景などに注意します。
局所所見では1)~6)のチェックを行います。
1)脱毛症の鑑別診断。
2)脱毛症の進行度。
分類の際にはできるだけ脱毛部の面積を正確に測定し、移植本数を設定します。
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3)採毛部の密度
設定した移植本数を採取するために必要な採毛部の面積を割り出すために必要です。採毛部の密度は個人差がありますが、後頭部と側頭部でも異なります。
4)頭髪の直径の測定
ヘアの直径はデジタルマイクロメーターで測定します。ヘアの直径が50%に減少すれば同じ密度を達成してもボリュームは4分の1にすぎません。具体的には細い(1点)中等度(2.5点)太い(4点)と評価します。
5)直毛またはカールしているのかその程度
直毛(1点)よりカールした頭髪(2.5~4点)の方がボリュームがとれやすい。
6)ヘアの色
ヘアの色が皮膚に近いほど地肌が見えにくく、植毛の効果が上がりやすくなります。白人の明るい色調の皮膚と金髪、また黒人の暗い色調の皮膚と黒髪に比較し、日本人は比較的明るい色調の皮膚に黒髪のためコントラストが強く、そのために地肌が見えやすいというハンデがあります。黒髪(1点)から白髪~金髪(2点)は分類します。
同じ密度に移植しても4)~6)のファクターによって得られる効果は異なります。各因子を3段階に分け、評価してポイント化してその効果を予想します。合計3点~10点となり高得点の症例ほど術後の満足度が高くなる傾向があります。

まずは、植毛する本数により、後頭部からドナー(植毛する毛)をとります。
この時毛包組織を容易に切断、破壊しがちなマルチブレ-ドナイフのようなものは使用していません。
まず、ドナーを摂取する場所の毛を短く刈り込み、その後摂取場所をデザインします。

例えば、1平方センチあたり、160本の髪の毛の方で2000本を植毛する場合、12.5平方センチの頭皮を摂取する事になります。
その後、拡大鏡を用いドナーを摂取します。

この時のテクニックとしてオープンテクニックというものがあります。
これはシンプルブレードのメスを使い、拡大鏡で毛根を数cm²ずつ直視し、確認しながらドナーを採取していく方法です。オープンテクニックの最大のメリットは、毛根の切断によるロスが少ないことです。マルチブレードナイフでは8~20%のドナーのダメージが確認されていますがオープンテクニックの場合2~3%にとどまります。
傷跡がきれいに仕上がる縫合オープンテクニックでは毛根の切断が少ないためにドナーの傷跡が従来よりきれいになりますがさらに当院ではインビジブルスカー(Invisible scar)テクニックを行なっております。2005年度にフランスのフレッシュ博士が報告したTrichophytic donor closureというものです。
この方法とオープンテクニックの組み合わせが現在考えられる最も美しいドナーの傷へのアプロー チです。」

※当院では、マルチブレードナイフは使用しておりません。
そして同じ場所から再びドナーを採取出来ます。

Trichophytic donor closure
ドナーの傷の下縁の表皮を1㎜ほどカットし縫合すると、傷をまたいでヘアが生えて傷がより目立たない


次は株分けです。
摂取したドナーを、ユニットごとに分ける作業です。
ユニットとは、1~4本の毛、うぶ毛、皮脂線、起立線 を1つのユニットと呼んでいます。
1本毛は1本毛として、2本毛は2本毛としてそのままの生えていたいた状態で植毛するのです。
株分けの時は、マイクロスコープ、バックライトを使用し傷つけないように作業します。
この顕微鏡を使う事が、FUTの特徴でもあります。

写真のようにパレットに入れるのは、株のサイズごとに よって色分けするのもそうですが、株は乾燥させてしまうと5分で駄目になってしまう為このようにな方法で乾燥を防ぎます。
そしてこの時、温度をモニターしながら慎重に作業をするのです。

ユニットというのは、髪の毛が生えている状態が髪の毛以外に、皮脂腺、起立線、産毛がひとつの ユニットとして生えています。
そのユニットをそのまま、植毛するのです。
右の写真の丸で囲まれた所が一つのユニットです。
Robert M. Bernstein,MD,and William R. Rassman,MD THE LOGIC OF FOLLICULAR UNT TRANSPLANTATIONより


最後に植え込みです。植え込み時には拡大鏡が用いられ、適切な深さに植え込まれます。
まず、カウントした株数にあわせて植え付ける部分の頭皮にスリットをいれます。
そこに、植毛用の特殊なピンセットで1株ずつ植えていきます。
株分けの数、ヘアの本数を再度確認し、全て植え付けます。

手術の翌日、包帯をはずしてから1週間くらい目の周りがむくむ事があります。
これは植毛の際に頭皮に打った麻酔液や腫れが時間とともに顔の部分に下りてくるのが理由と考えられます。
そこでむくみを防ぐよい方法として、睡眠時にヘアバンドをつける事をお勧めしています。

これが、現在私達の行っている、Yokobi式FUT
フォリキュラ-・ユニット・トランスプランテ-ションユニット植毛です。
時が流れているように、技術も日進月歩の勢いで進化しています。
医療法人 横美会
ヨコ美クリニック 今川 賢一郎
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