横浜・首都圏の自毛植毛・植毛の専門医、ヨコ美クリニック

ヨコ美クリニック

植毛なんでも相談室へ

植毛コラム

第3回コラムドナー部の傷について

従来の帯状にドナーを採る方法ではどうしても線状の傷がのこります

よくカウンセリングで「植毛をしたあと坊主頭にできますか?」と聞かれますが、植毛をうけたあとそのようなヘアスタイルは想定しない方がよいorできないと答えています。
線状の瘢痕のほとんどはヘアにかくれて目立たないのですが、やはりスキンヘッドや坊主頭にすると他人からわかってしまうからです。
線の傷をつくらないFUE( follicular unit extraction )という技術が登場したのはこれを解決するためだといえます(この方法はいつかこのコラムにとり上げたいと思います)。
もっともFUEにも従来法に比べて問題点もあり、また最近は従来法でもその傷を目立たなくするアイデアも次々と誕生しています。

傷の仕上がりの差はどうしてできるのか?

すべてのドクターが同じ方法を行っているチェーンクリニックでも、手術したドナーの傷を見ればだれがそれをやったかおおよそわかります。
医師はそれぞれ出身の専門分野、経験の違いやくせがあるからです。
もちろん同じ医師が行っても患者さんごとに傷の仕上がりが違います。
頭皮の柔らかさ、ケロイド体質の有無(これは実際にはとてもまれです)、年齢などいろいろな要素がからむからですが、年配の方で頭皮がとても硬く傷のテン ションが大きかった方がきれいな線になり、反対に若い方で頭皮がとても柔らかくほとんどテンションがなかったのに巾をもってしまったなどの経験はすべての 植毛医にあるはずです。

日本人は黒髪なので皮膚とのコントラストが強く白人より同じ条件でドナーの瘢痕がより目立ってしまいます。
きれいorきれいでない傷の境の目安はだいたい3ミリくらいだろうと思います。
うける方の体質は別としてドナー部の瘢痕が目立ってしまう一番大きな原因は傷のテンションだと一般的に信じられています。
ただこれが傷の巾を大きくする主犯なのか?そうではないという意見もあります。
“ドナー切開部の毛根切断”つまり毛のはえている方向にメスが入らないために毛根が切られてしまうことが傷に巾をもつ一番大きい原因であり、その他
・傷口の乾燥
・手術操作による傷周辺のヘアのダメージ
・上下の創がきちんと合っていないこと
・テンション
などがそれに次ぐ原因だと主張する医師達もいます。
私も全く同感で、テンションというよりむしろ毛根切断という原因が大きく関係していると考えます。
毛根切断されたヘアは生えないか産毛化してしまうのでその何列かは瘢痕に巾が生じてしまうからです。

どうしたらもっと目立たない傷にできるのか?

当然以上の原因をなくすことがその対策なのですが、そのために今からのべることは少々専門的になります。

1、毛根切断を最小限にすること
メスでふつうにドナーをとると少なく見積もっても5%ていどのドナーのヘアの毛根切断が生じます。
オムニグラフトなどにつかわれるマルチブレードナイフでは8~20%の毛根切断(ダブルブレードナイフもマルチブレードと同じことです)をおこすとされています。
ドナーの帯の上下は毛の向きが違いますから各々別々にカットすべきで(これをシングルブレードといいます)さらに拡大鏡をつかってのオープンテクニックではさらに精度が増し、毛根切断は2%以下になることされています。
またこの方法を用いることでドナーのロスが減るだけでなく傷をよりきれいにすることができるはずです。
2、ドナーを切り取って縫合するまで傷口をかわかさないこと
そうでないとやはり創表面のヘアに乾燥によるダメージが加わり毛根切断と同じことになります。
3、細かくデリケートな操作で傷口を愛護的にあつかい、上下の傷をきちんと縫い合わせること
外科医にとって傷を縫うことは手術の終わりを意味しますが、形成外科医は傷をきれいに縫い合わせること自体が仕事です。
その意味で形成外科や皮膚専門の皮膚科出身の医師が植毛にもっともむいているといえます。
4、なるべくテンションを下げる工夫をする
採るドナーの幅が狭ければ問題ないのですが、そうすると多くの移植毛が採れません。
メガセッションとかデンスパッキングのトレンドのため一回にとる本数が増える傾向にありますが、場合によってはあえてドナーの帯の巾を広くデザインする必要もあります。
そういう時に私が注意している点は・あらかじめ頭皮の柔らかさの度合いを測って無理なく採れるであろう巾を割り出す。
・あらかじめうける方にマッサージをお願いしておく。
・場合によって術後短期間で抜糸するテンション縫合を行う。
・場合によって2~3ヶ月で溶ける吸収糸をつかって皮内縫合を行う。などの点です。

インビジブルスカーとは?

正式にはTrichophytic法といわれ2005年に発表されまたたく間に受け入れられた方法です。
簡単にいうと上下のドナーの傷の一方のエッジを1㎜くらいカットした創を縫合すると傷をまたいでヘアが発毛するので線の傷が目立たないということです。
大部分のケースでは従来よりきれいな傷になることが多いのですが、残念ながらすべてのケースに有効とはいかないようです。
この方法の欠点はそのために余計に巾をとることになること、つまり傷のテンションがより大きくなることと、傷の経過中に赤味が強いことなどです。
当院では初回の全例、2回目以降でテンションが強くない場合にこの方法を行っています。

吸収糸vs非吸収糸

ドナーの傷 抜糸について 吸収糸vs非吸収糸

糸は14日以上ほうっておくと糸あとがつきやすくなります。
基本的に抜糸にいらっしゃれるなら非吸収糸で抜糸(7~14日目)、遠くでそれが無理なら吸収糸での縫合ということになります。
どちらかというと非吸収糸できちんと抜糸した方がきれいな傷になるように感じます。
抜糸の時には経過もみることができますので「抜糸をしなければいけないイコール面倒だ」ではなく「経過をみてもらう、またその時に抜糸もしてもらう」ぐらいに考えた方がいいと思います。
写真は他院ドナーの傷ですがこのように溶けてなくなるまで時間のかかるタイプの吸収糸を使って、頭皮に大きく糸をかけるとこのように糸あとがみっともなくのこってしまいます。
どうしても吸収糸を使わないといけない場合、一番早く溶けるタイプのものを使うことや、糸を大きくかけないことがとても大切です。

1本の傷vs複数の傷

何度か植毛をくり返す際に1本の傷にするのか2本orそれ以上の傷にするのかどちらか良いのか?という質問もありました。
欧米の多くのクリニックでは1本の傷から採ることが多く当院もそうしております。
1本の傷にする利点は
・1本の傷であること自体
・傷の治りの良い方にとってはこのほうがベター
・仮に傷が目立つ場合1本の傷の方が修正が容易で、2本以上の傷にする利点は・ふつうは1回目の傷の方がきれい
・傷のテンションが低く縫合が簡単
・多くのヘアをとりやすいたとえば前回の傷付近では前回よりドナーの密度が15%下がっているので前回と同じ本数の移植毛をとる場合15%多めの面積のドナーが必要となります。
ドナーの面積で手術費用を設定しているクリニックがあるとききます。
そのような場合2回目も同じ所からだと採れる移植毛の本数は減ることになるため別の場所から採る傾向になりがちです。
つまり2本のちがった傷からドナーを採るのは患者様のためというより料金設定のためということになります。

写真は他院のドナーの傷ですが2本とも巾ができてしまっています。
1回目の傷がとてもきれいで目立たなかったならば2回目は別の場所からでも良いかもしれませんが、そうでないならこのようなことは絶対にさけるべきだろうと思います。

他院のドナーの傷

 

植毛コラムへ植毛ブログ(相談室へ)美容室・カツラのご案内

ページのTOPへ